Wewillは7月14日(金)、中小・中堅企業が新規事業創出やDXについて学ぶ半年間のプログラム「挑む中小企業プロジェクト」の最終成果報告会を浜松市中区のジ・オリエンタルテラス(THE ORIENTAL TERRACE)で実施しました。
参加企業35社を代表して8社がピッチ形式で成果報告を行い、審査員による最優秀賞には不動産ポータルサイトの「365LIFE」が選ばれました。また、会場の参加者投票で決まる「オーディエンス賞」には、結婚式場・レストラン運営の「鳥善」が選ばれました。
【最優秀賞】リノベ促進で空室を減らす365LIFEの「365Design Market」
365LIFEは、不動産管理会社のリノベーション提案業務を効率化する「365Design Market」事業を発表しました。
同サービスは、好きなリノベーションのデザイン案をテンプレートの中から選ぶだけで、大家向けの提案資料出力や実際のリフォームに向けた発注などができるプラットフォーム。リノベーション提案にかかる時間を短縮できるほか、テンプレートの活用によって工事中でも内装イメージを掲載できるため、住人の募集がしやすい点などをメリットとして紹介しました。
プレゼンターで同社代表の古橋 啓稔さんは、人口減少により空室物件が増える中「リフォーム売上を増やせば全てがうまく回る。(リフォームすることで)空室が埋まり、大家にも喜ばれる」と、同サービスの狙いを述べました。
「365Design Market」は、365LIFEが「挑む中小企業プロジェクト」に参加する前から走りだしていたものの、「拡大へ向けて壁にぶちあたっていた」と古橋さん。「皆さんのおかげで、もう一歩踏み出すきっかけをもらったと思います。ありがとうございます」と受賞の喜びを語りました。
【オーディエンス賞】増える外国人労働者向けの社食キットを開発 鳥善
結婚式場やレストラン運営を手掛ける鳥善は、増加が見込まれる外国人労働者を中心としたマイノリティの食事の悩みを解決するミールキットの新規事業を発表しました。人口の3割がベジタリアンというインドに着目し、外国人の好みに合わせた美味しさを追求したインドベジ商品を開発。インド市場に強みを持つスズキなど、製造業を顧客として、法人向けの展開を想定しているとしました。同社の持つ結婚式場の遊休時間を使うことで、設備投資を抑えられる点もポイントとして説明しました。
その他の登壇企業と発表内容は以下の通りです(発表順)。
現場監督の残業を半減するカメラ ピクトグラム
建築現場を遠隔監視できる「コネクトカメラ」を開発するピクトグラムは、約15万社が利用する建築プロジェクト管理ツール「アンドパッド」との連携によって、サービス拡大を目指す戦略を発表しました。「コネクトカメラ」は魚眼レンズによって現場全体を見渡せるほか、映像をクラウドで管理することによってコストを抑えられる点が強み。導入によって残業時間が半減した企業もあるといい、「映像コミュニケーションで建築現場に新常識をもたらしたい」と強調しました。
利益体質への改善に向けて新サービスを開始 アロー
企業のブランディングやマーケティングを手掛けるアローは、サービスに対する顧客評価は高い反面、時間を割きすぎて利益が低いという課題がありました。「挑む」プロジェクトを通して自社の課題や目指す方向性に向き合った結果、新たに月額制コンサルティングサービスを開始するに至ったことを成果として発表しました。営業効率の向上や人材育成の強化にも取り組んでいます。
営業網を生かしクレープロボを販売 ワルツ
飲食店への食材卸などを手掛けるワルツは、「モリロボ」と連携し、同社が開発するクレープ製造ロボットを人手不足に悩む飲食店やホテルなどに販売することで、メニューの多様化や利益の上昇に貢献するビジネス案を発表しました。ワルツは自社の営業網を活用するほか、ロボットを導入した飲食店への原材料供給によっても収益を得られる点など、同社が持つ既存のリソースを生かした新規事業の可能性を強調しました。
インフルエンサーと協業で掃除の悩みを解決 アズマ工業
清掃用品の製造や清掃サービスを手掛けるアズマ工業は、「お掃除系インフルエンサー」との連携で自社ブランディングを行う事業アイデアを披露しました。インフルエンサー個人では解決しきれない掃除に関する困りごとをヒアリングして回答するほか、コラボ商品の開発などを通してEC販売の強化を目指していくとしました。新規事業の検討にあたってインフルエンサーへのヒアリングを実施し、「誠実で、正しい情報発信をしようと心を割いている人が多い」といった気付きを得られたことも説明しました。
高級アウトドア家具で脱・下請け ソフトプレン工業
スポンジ加工のソフトプレン工業は、「脱下請け」を目指し、自社の技術力を生かした高級志向のアウトドア家具ブランドを販売する新規事業を発表しました。様々なスポンジの加工技術を持つ強みを生かし、耐久性の高い素材を使った屋外で使用するソファや家具をラインナップ。庭のある家庭やグランピング施設、リゾートホテルなどに販売し、2億円規模のビジネスを目指すとしました。
光技術の海外戦略 パイフォトニクス
光技術「ホロライト」を様々な企業に向けて提供するパイフォトニクスは、海外進出のための戦略を発表しました。労災の多い米国をターゲットに、ホロライトを天井クレーン用の安全照明として活用すると説明。ホロライトは他社製品に比べて視認性の高い光を発せられる点や、製品がコンパクトである強みを生かし、労働災害の低減に貢献することを目指すとしました。
Wewillの「挑む中小企業プロジェクト」とは?
Wewillによる中小企業支援事業で、正式名称は「意志ある中小企業のStartup化 インキュベート事業「SYNUPS」で実現する事務DX・有識者講義によるマインドDX」です。
中小企業のデジタル化支援として、①事務DX実現のためのバックオフィス変革②DXに向けたマインドセット③新規事業創出の手法を学ぶ教育プログラムを提供します。これにより、変化への対応や新規事業創出をスムーズに行える体制を構築します。同事業は中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ビジネスモデル構築型)」を受けています。
詳細はこちら
なぜWewillが「挑む中小企業プロジェクト」をやったのか?
Wewillは、ベンチャーキャピタルなどの投資家ではなく、事務DXのサービスを提供するスタートアップです。そのWewillが、自分たちと同じ中小企業に対して「新規事業創出」「DX」を実践する支援プロジェクトを行う理由について、代表の杉浦は
「新規事業の創出や既存事業のDXには、オペレーションの変化が大事になります。新しいことに挑戦するときには、その『変化の連続』を支えるバックオフィスがないと、変化が継続しないと思っています」と話します。
Wewillでは、企業のバックオフィスは10年後、インフラとしてサービス化していると考えています。Wewillはそのインフラとなることを目指し、バックオフィスのための分業管理プラットフォーム「SYNUPS(シナプス)」の開発に「挑んで」います。
こうした中、浜松地域を始めとした中小企業とともに、新規事業を加速しやすい環境づくりやオープンイノベーションの促進に取り組んでいます。